技術者人材育成総括2019 vol.103
公開日: 2020年1月7日 | 最終更新日: 2020年1月6日
Tags: OJTの注意点, マネジメント, メールマガジンバックナンバー, 人材育成一般, 仕事の遅れる若手技術者, 働き方改革, 打ち合わせ・出張, 技術情報発信型マーケティング, 技術者の癖, 技術者の自主性と実行力を育むために, 技術者人材育成, 採用, 生産性向上, 若手技術者の指導者, 要素技術醸成
今回は新春特別号「 技術者人材育成総括2019 」として、2019年のメルマガを抜粋して振り返ってみたいと思います。
各題名をクリックするとメールマガジンバックナンバーに移動します。
1. 若手技術者の試験(実験)の データ整理スピードが遅い Vol.078
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今日のワンポイントは、
「若手技術者の試験(実験)の データ整理スピードが遅い 」
という時には、
「マクロの設計と実施をするよう指導する」
ということを心がけてください。
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データ処理という技術者の定常スキルを高めるために、
基本的なプログラミングであるマクロを使う、
ということを述べました。
生産性向上と同時に、プログラムを用いた論理的な部分を育成する狙いがあります。
2. 若手技術者がわからないことを聴きに来ない Vol.079
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今日のワンポイントは、
「若手技術者が わからないことを 聴きに来ない」
という時には、
「一日一回、5分ほどで昨日の報告と今日何をするのか報告させる」
ということを心がけてください。
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業務を抱え込みがちな技術者の特性を考慮した、
強制的なコミュニケーションの一つとして毎日のショートミーティングの必要性を述べました。
最初は長く時間がかかること、
そして毎日続けて習慣化することが重要です。
3. 知識や情報の少なさ で動きが止まってしまう技術者が前に進むことを後押しするには Vol.080
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今日のワンポイントは、
知識や情報の少なさ で動きが止まってしまう技術者を後押しするには、
「6割の知識と情報で進むことの必要性を理解させる」
ということが重要
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日常業務で何かに立ち向かうにあたって、
情報や知識が準備万端ということはほとんどありません。
むしろわからないことに取り組むことに技術開発の意義があります。
情報や知識が少なくとも前に進むために、
6割準備できていればいい、そしていくつかの選択肢、並びにセーフティーネットに関する情報を、
予め伝えておくことがポイントであることを述べました。
4. 専門知識の向上 に貪欲な若手技術者への必要な助言がわからない Vol.081
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今日のワンポイントは、
「専門知識の向上に貪欲な若手技術者が本ばかり読んでいる」
という時には、
「本当に必要な知識は実践経験でしか養えないことを伝える」
ということを心がけてください。
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専門性至上主義を抱える技術者は知識習得には貪欲ですが、
そのやり方として本を読むという方法をとることが非常に多い。
実際に役立ついわゆる「知恵」をみにつけるためには実践経験が必須であることを述べています。
5. 技術者のチームミーティングで若手が発言しない Vol.082
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今日のワンポイントは、
「技術者のチームミーティングで若手が発言しない」
という時には、
「若手技術者に対し、君はどう思うと問いかけ、批判せずに最後まで意見を言わせる」
ということを心がけてください。
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技術者の集まるチームミーティングでは、
技術的な議論を深め、技術の基本的な部分を底上げする取り組みが重要です。
若手技術者に発言させようという取り組みは比較的多くの企業で行われていますが、
その発言に対しては「そんなことも知らないのか」と批判的なコメントをしがちです。
教育の一環として批判が入るのは仕方ありませんが、
やったことは知らないのが当たり前ということ、
そして何より最後までまず若手技術者の言い分に耳を傾けることで、
自らの意見を述べるということに慣れさせてください。
6. 若手技術者が技術の本質を理解していない Vol.083
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今日のワンポイントは、
「若手技術者が技術の本質を理解していない」
という時には、
「古い参考図書を購入し、行き詰った時に何度も読み返させる」
ということをやらせてみてください。
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様々な展開の速い技術が多い現代こそ、
技術の原理原則を述べた昔ながらの参考図書を読み込み、
技術の本質を理解することの重要性を述べています。
7. 新人技術者を指導する若手技術者を経由してきた仕事のアウトプットの質が低い Vol.086
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今日のワンポイントは、
「新人技術者を指導する若手技術者を経由してきた仕事のアウトプットの質が低い」
という時には、
「指導を新人技術者ではなく若手技術者に対して徹底する」
ということを心がけてください。
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元技術者のマネジメントがやりがちな、
「若手技術者を飛び越えた新人技術者への指導」
を回避し、若手技術者を経由した指導を行うということの重要性について書いています。
8. 若手技術者が自分で考えて動いてくれない Vol.091
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今日のワンポイントは、
「若手技術者が自分で考えて動いてくれない」
という時には、
「必要なゴールとそれに到達する時間軸を活字で示した上で、 細かいやり方は任せてみる 」
ということを試してみてください。
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自主的に動く技術者を育成するためには、
指示内容をきちんと理解させるということが第一歩です。
その際、活字による指示を行うことで若手技術者が自ら経験を積み、
その経験を応用しながら自主的に動くことを目指します。
9. 若手技術者から想定した時間軸でアウトプットが出てこない Vol.092
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今日のワンポイントは、
「若手技術者から想定した時間軸でアウトプットが出てこない」
という時には、
「実験や評価計画の立案をさせ、必要に応じた修正をさせた後、承認する」
という業務をルーチンにしてください。
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若手技術者は時間軸に鈍感なケースが多い。
その対策として、自ら実験やその計画を考えさせ、
それをベースに業務指示を行うというものがあります。
若手技術者の時間軸に対する考え方を指導すると同時に、
マネジメントが若手技術者の考えていることを理解するということが目的になります。
10. 若手技術者に受けさせた研修が実務に活かされていない Vol.093
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今日のワンポイントは、
「若手技術者に受けさせた研修が実務に活かされていない」
という時には、
「若手技術者が研修で何を学んできたのかをヒアリングし、それを実務として落とし込める物はないか」
ということをマネジメントが検討してください。
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研修内容を実務に活かせるか否かは、
実はマネジメント側のアプローチが重要であるという盲点について述べています。
11. 自社の 要素技術 のレベルが上がらない Vol.095
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今日のワンポイントは、
「自社の 要素技術 のレベルが上がらない」
という時には、
「中堅技術者に査読付きの国際科学誌へ投稿させ、そのプロセスを若手技術者にサポートさせる」
ということを心がけてください。
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要素技術のレベルを上げるのに最適なアプローチは査読の着いた国際科学誌に投稿させる、
ということです。
関連する技術の論文を集め、それを読み込むという準備や、
レフェリーとの議論など、実際に論文を書くにあたっての実験や試験推進、
並びに考察を考える以外にも多くの要素技術レベル向上に適した業務が含まれます。
このような作業を実際に行うのは中堅以上の技術者でしょうから、
若手技術者はそのサポートになります。
このような業務に対するサポートを通じて得られた経験は、
本人の要素技術に関する知見の底上げに大きな向上効果が期待されます。
12. 若手技術者を 展示会 に出席させたいが何をやらせればいいかわからない Vol.097
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今日のワンポイントは、
「若手技術者を展示会に出席させたいが何をやらせればいいかわからない」
という時には、
「自社製品の技術データが掲載されたカタログを持たせ、技術的メリットに関する情報を拡散させる」
ということを覚えさせてください。
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技術者にとっての展示会は業界動向、
新たな取引先の開拓、並びに競合他社技術の把握など、
目的意識をもって参加することで高い成果を得られます。
しかし経験の浅い若手技術者にいきなりそのような成果を期待するのは困難です。
その一方で自社の技術データが掲載されたカタログなどを持たせ、
それにより自社技術の強みを伝えることができれば新たな顧客だけでなく、
技術協業パートナーの発見にもつながります。
13. 技術者の採用でどのようなポイントを見ればいいかわからない Vol.101
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今日のワンポイントは、
「技術者の中途、新卒採用においてどのようなポイントを見ればいいかわからない」
という時には、
「自分のこれまでの経験で最も技術的に苦労したところと、その解決に向けた取り組みを聞き出す」
そして、
「その返答が客観的かつ定量的であるか」
ということを判断してください。
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技術者を採用するにあたっては総合職とは異なる考え方が必要です。
技術者としてのスキルの高さを評価するのに最重要なのは、
技術的に困難な仕事にどのように取り組んだか、
そしてそれをどれだけ客観的かつ定量的に説明できるか、
という観点で見てください。
必ずしも困難を乗り越えなくてもいい、
むしろ乗り越えられなかった場合、素直にそれを認めた上で、
どこまで何ができたか、そして何ができなかったのかを、
定量的に言える客観的な観点は技術者としての最重要スキルといっても過言ではないでしょう。
いかがでしたでしょうか。
上記の内容は技術者を指導するマネジメントの方はもちろん、
人材担当の方、または技術者の方々にとっても必要なベーススキルを理解する一助になると考えます。
注目すべきことは2点。
1点は必要とされるスキルの幅が広がってきていること。
そして、もう1点は技術者の育成は一般的な人材育成とは異なるということです。
従来型の人材育成、従来型の技術者といった枠組みではなく、
自社ではどのような技術者を育成したいのか。
そして技術者自身もマネジメントとコミュニケーションをとり、
組織としての働きを行う一方で、
どのようにして貢献していくのか、そのためにどのようなスキルが必要なのか。
そのようなことを常日頃考えることが求められているのです。
本年も様々なベーススキルについてご紹介していきたいと思います。
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