専門知識の向上 に貪欲な若手技術者への必要な助言がわからない Vol.081

 

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( The image above was referred from https://www.cleanpng.com/free/knowledge-engineering.html )

 

今日は技術者の専門知識の向上 のための取り組みについて考えてみたいと思います。

 

 

技術者は 専門知識の向上 に基本的には貪欲

 

 

当社の経験上、若手技術者の実に80%近くが自身の改善点として挙げる

 

 

「 専門知識の向上 」

 

ですが、その背景には、

 

「専門性至上主義」

 

という技術者が必ず陥る思考の癖があることは以下ようなコラムで、
何度も述べたことがあります。

 

※若手技術者人材育成で「 専門性 」は重要ではない

 

※若手技術者の専門性に関する 執着心 をモチベーションの原動力に

※若手技術者の成長を許容できる 中堅技術者 を生み出すには

 

 

技術者が有する専門性至上主義の背景

 

専門性至上主義は何故生まれるのか。

 

それは、知識量で成績をつけるという、
統治教育が根幹にあるというのは、
前回のコラムの編集後記でもご紹介した、

「教育とは何か」という本の著者である 大田 堯 先生の書かれていることと、
無関係とはいえないでしょう。

 

 

知っていることが正義というのは、
このような背景から培われてきたものなのです。

 

 

教育という大きな課題に向き合うためにはかなりの労力と時間と、
そして覚悟が必要ですが、
残念ながら民間企業が取り組めるスケールの話ではありません。

 

 

ここでは、その教育を受けた若手技術者をどのように引き上げるのかを考えることが優先でしょう。

 

 

 

どのようにして若手技術者の専門知識習得を進めるか

 

専門性至上主義で、特に専門知識習得に貪欲な技術者がその対策として口をそろえて言うのが、

 

「参考書を読む」

 

「論文を読む」

 

といった、

 

「活字媒体での知識習得」

 

を最優先に挙げることが殆どです。

 

 

 

もちろんこれらの知識習得法は鉄則であり、
否定する理由は何もありません。

 

 

問題は、

 

「上記のような活字媒体での専門知識習得が、第一優先になっている」

 

ということです。

 

極端に言ってしまうと、活字でみにつけた知識は知識のレベルです。

 

 

 

知っている、つまりテストでは覚えていれば答えを記述できる、
ということでとどまります。

 

 

しかし、より重要なのは、

「知識を生かして実際に実務ができる実行力」

であることに間違いは無いでしょう。

 

 

知っているだけでは、顧客からお金を受け取るビジネスは製造業では成り立ちません。

 

 

この知識を生かして、実際に何か業務を前進できる力のことを、

 

 

「知恵」

 

 

と呼ぶ方も居ます。いわゆるこの知恵を養うことこそが重要なのです。

 

 

では、この知恵はどのようにして培われるのか。

 

 

それは、

 

「現場の最前線での実践力」

 

しかありません。

 

 

 

実際の現場で起こることは予想外、想定外、理不尽、不可能といった言葉が飛び交う世界です。

 

 

長時間かけて研究しようという現場ではだめです。

 

 

いつまでに市場に出す、顧客に出す、といった明確な日程の決まっている仕事に対し、
真摯に向き合い、他人事ではなく自分事として責任もって取り組む経験こそが、

 

 

「本当の意味での知恵」

 

 

を習得できます。

 

 

 

上記のような修羅場と化す現場で、必要な事は自ら必死に調べるか、
経験のある人物にヒアリングするなどしか手がありません。

 

 

このようにプレッシャーのかかり続ける環境下でみにつけたものは、
血肉となり、まさに知恵へと進化していきます。

 

 

 

本で調べたこと、他人から聞いたことというのは、
それなりに伝えることができても、

 

 

「具体的にどうするのか」

 

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というアクションプランまでは考えられないでしょう。

 

 

実際の実行力につなげないと、企業にとって専門知識は無用の長物になりかねません。

 

 

 

そういう意味では若手技術者に早い段階で厳しい環境下で仕事をしてもらい、
その若手を必要に応じてフォローしながら後付けで知識を肉付けしていく、
というプランが重要だといえます。

 

 

 

以上のことから、専門知識の向上を目指す若手技術者には、

 

 

「本当に必要な知識は実践経験でしか養えない」

 

 

ということを繰り返し伝え、フォローしながらも仕事を任せる、
という流れを作っていくことが重要です。

 

 

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今日のワンポイントは、

 

 

「専門知識の向上に貪欲な若手技術者が本ばかり読んでいる」

 

 

という時には、

 

 

「本当に必要な知識は実践経験でしか養えないことを伝える」

 

 

ということを心がけてください。

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