テレワーク 対応時に技術者へ何をやらせればいいかわからない Vol.107
公開日: 2020年3月2日 | 最終更新日: 2020年3月1日
Tags: OJTの注意点, テレワーク, メールマガジンバックナンバー, 報告書, 技術者人材育成
昨今、世間を騒がせているウィルス感染拡大の状況は、
100年ほど前に大流行した「スペインかぜ」以来のパンデミックではないかともいわれています。
スペインかぜは人間以外の動物間でのみ感染していたインフルエンザウィルスが、
突然変異で人間にも感染するようになったため、
人間が抗体を持っていなかったのが大流行の原因といわれているようです。
今回流行しているのはインフルエンザウィルスではありませんが、
ウィルスの拡大が止められない状況として一部似通っているとも言えます。
要望の高まる テレワーク
このような状況にあって、
自宅待機などで業務を進める
「 テレワーク 」
が要望されるケースが急増しています。
セキュリティーの問題さえ乗り越えられれば、
アプリの開発、電子情報のやりとりを主としたシステム開発等はテレワークが機能しやすい業務といえる一方、
製造業はその対応が難しい業種の一つといえるかもしれません。
特に、設備などを動かしてものづくりをする現場では、
どれだけ自動化が進んだとしても無人というわけにはいかず、
工場で働く品質管理、設備管理、設備動作に関わる技術者の出社は必須といえます。
その一方で、同じ製造業であったとしても研究開発を主とする技術者の方々は、
テレワークが比較的可能な業種の一つであるというのは盲点かもしれません。
研究開発に取り組む技術者の中で、特に若手から中堅は現場での実験や試験等の業務が多いため、
昨今の テレワーク 要請に応じられないと考えられることが多いかもしれません。
さらに多くのマネジメントの方は、
「技術者は出社しないと業務が進まない」
という固定概念があることもあり、
「テレワークという未経験の状況下で技術者達にどのような指示をすればいいのかわからない」
という方も多いようです。
現状を嘆いて何もしないというわけにもいきません。
従業員を遊ばせてしまい、企業の経費で最も大きい人件費を無駄遣いするわけにはいかないからです。
テレワーク で技術者に取り組ませたいこれまでの研究開発業務に関する技術報告書の作成
このような状況下で、是非取り組んでいただきたいのが、
「技術者の方々に今まで行ってきた実験、試験などの開発業務を技術報告書という形でまとめさせる」
という業務です。
景気後退局面に加え、何より人の動きが停滞しているこの状況下は、
技術者育成という観点ではチャンスといえる一面があります。
日々の業務が多忙な状況では、
「とりあえず目の前のことを進める」
という盲目的な業務推進戦略のすべては否定できず、
ある程度は許容すべきことだと思います。
ただこのような業務推進の方向性の裏では、
「技術者が本来みにつけるべきスキルの醸成が滞っている」
という事実に気が付くマネジメントや技術者は少ないかもしれません。
この技術者が本来みにつけるべき最重要スキルが、
「技術報告書の作成を基礎とした論理的思考力」
です。
このスキルを向上させるための技術者育成は非常に時間がかかることもあり、
マネジメントや経営者も後回しにする傾向にあります。
この辺りは以下のコラムでも述べたことがあります。
出社が推奨されず、人の流れが制限され、
予算の見通しも立たない。
つまり、様々なことに制約が出る状況が現在の状況だと思います。
この状況を嘆くのは誰でもできますが、
元々新しいものを生み出すことを生業としている技術者であれば、
「このような限られた状況下で何ができるか」
を考えるべきです。
予算や行動が制限される環境下で得られる時間
ここで見方を変えてみます。
上記で述べたのは、
「行動と予算に制限がかかる一方、時間的余裕ができる」
という状況といえます。
すなわち、
「技術者の業務の中で重要かつ時間がかかることに取り組むチャンスである」
と考えるべきなのです。
ではその答えは何かというと、既に述べた
「技術報告書の作成を基礎とした論理的思考力という技術者育成を推進すること」
となります。
恐らく、比較的景気の良かった2年程前まで多くの実験や試験を各社の技術者たちが行ってきたと思います。
ここでひとつ質問です。
「ここ数年間でその技術者たちの業務の中で明らかにしてきた技術的事実、技術的課題、それらを踏まえた今後の方針といったことについて、社内の活字記録はあるでしょうか?」
これについて、
「当社では社内向け(場合によっては社外的なものも含め)の技術レポートや技術報告書が存在し、それを読み返せばここ数年で行った技術的な研究開発業務は紐解ける。」
という答えを言える企業がどれだけあるでしょうか。
多くの企業においては、
「担当者の頭の中にはあるが、活字媒体としての記録は残っていない」
というのが現状ではないかと思います。
これこそが技術者の研究開発業務の生産性の低さはもちろん、
なにより技術者の底力の無さの根本的な問題なのです。
自らのやってきたことをまとめ、それを共有する技術者のない技術系企業に明るい未来は描けません。
何故ならば、
「技術の蓄積と伝承、そしてそれを踏まえた新たな技術の創出が不可能」
だからです。
経済的、行動的制約が高まる昨今こそ、
この課題に目を向け、技術者に対して技術報告書を基本とした論理的思考力の醸成、
という技術者育成に取り組むべきでしょう。
まずマネジメントとして取るべき最初のアクションは、
この必要性について社内整合を取り、
現場技術者と協力しながら技術報告書のテンプレートを作成することでしょう。
この辺りの詳細については当社でもサポートしているため、
詳細については以下のサイトもご参照ください。
先がますます見えにくくなる現代。
こういう時に求められる技術者や技術者マネジメントの姿勢は、
「いかにピンチをチャンスに変えるか」
という姿勢です。
守りだけを行う企業に未来はありません。
必要に応じた守備体制をとりながらも、
攻めるところは攻める。
そのような創成期にある企業のごく当たり前の姿勢が、
今すべての企業に求められていると考えます。
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