技術専門用語の習得が遅い若手技術者 Vol.131
公開日: 2021年2月1日 | 最終更新日: 2021年2月1日
Tags: OJTの注意点, メールマガジンバックナンバー, 仕事の遅れる若手技術者, 技術者の上司とは, 技術者の自主性と実行力を育むために, 技術者人材育成
技術者として採用された若手が大体一度は直面する
「 技術専門用語 」
という壁。
今日は、
「技術専門用語の習得が遅い若手技術者」
ということにスポットを当ててみたいと思います。
技術者として 技術専門用語 習得は不可避な業務の一つ
結論から言うと技術者にとって「 技術専門用語 」取得は避けて通れない業務の一つといえます。
何故かというと、
「技術的な専門用語は、技術的な議論を技術者同士が同じ土俵で進めるために不可欠なツールである」
という事実に由来します。
技術者の本来推進しなければならない業務は、
「自らの専門知識を使って、課題解決や新しい技術創出に向けて議論をした上で、実行方法を伴う知恵にまで落とし込み、活字で情報発信する」
ということに尽きます。
「専門知識を使って、課題解決や新しい技術創出に向けて議論」
という所において、技術専門用語は議論に加わっている技術者たちを同じ土俵に乗せ、何より、
「技術的な議論をより効率的に進める」
という役割があるのです。
そのため、若手技術者は好きか嫌いかを別としても、
専門用語の習得に努力することは必要であるという考えで間違いは無いでしょう。
若手技術者の専門用語習得を遅らせる二大要因
しかし、実際にはなかなか専門用語を若手技術者が覚えない、という状況にあるのではないでしょうか。
その背景にあるのは主に2つの要因です。
1つ目は、若手技術者の持つ「専門性至上主義」による「プライド」です。
若手技術者の多くは自尊心が低く、実は自分の技術に自信がないことが大変多い。
本人が認めるか認めないかの差はあるものの、実際に経験が無いので致し方ない部分もあります。
しかし、専門性至上主義、つまり
「知っているという言葉こそすべての正義」
と考えていることから、
「それを知らないので教えてください」
ということを発言できない若手技術者が結構います。
「自分は知らない」ということを認めたくないのです。
仮に教えてほしいと言えたとしても、次に待ち構えるのが中堅以上の技術者や元技術者であるマネジメントです。
これが2つ目の要因です。
中堅以上の技術者は実際にそうであったか否かは別として、
「自分は若手よりも苦労してきた」
という自負があります。
そのため、専門用語について聞かれると、
「お前はそんなことも知らないのか」
となじる言い方になったり、
「そのくらいのことは自分で調べろ」
という話になるでしょう。
もちろん、調べさせることも大切なので、
上記の対応がすべてダメとは言いません。
しかし、時と場合によっては柔軟に教えた方が育成の観点からも望ましいケースにおいても、
若手技術者に専門用語の解説をしないということが多々あるのです。
この若手技術者の専門性至上主義と、
若いころ苦労したという色付けされたという考え方に固執する中堅以上の技術者という二大巨頭により、
なかなか専門用語の習得が進まないということが多く見受けられます。
ではどうすればいいのでしょうか。
中堅以上の技術者が技術的な専門用語を専門用語を使わずに説明するのが解決策
結論から先に言うと、
「技術専門用語を使わずに当該専門用語を解説するということを中堅以上の技術者にやらせる」
が答えになります。
実は普段何気なく使っている専門用語。
いざバックグラウンドの無い人に説明しようとなると、
かなり難しくなるケースがあります。
その理由は、
「専門用語を誰でもわかる言葉に言い換えるには語彙力と論理的思考力が必要である」
という事実があるためです。
これは専門用語に限らず、和製英語等もそうですが、
単語を誰でもわかる言葉で言い換えるというのは、
それなりの語彙力に加え、それを理路整然と伝える論理的思考力が必要なのです。
そのため、いざ説明しようとすると専門用語の意味を知っている中堅やベテラン技術者であっても、
うまく説明できないことが意外にも多いのです。
特に技術報告書のような文章作成の鍛錬を積んできていない技術者はこの傾向が強く、
わかりやすく伝えるということができないのです。
言い換えれば、
「若手技術者に対して専門用語の解説をする」
ということは、
「専門用語を知っている中堅、ベテラン技術者の語彙力と論理的思考力を見極める好機になる」
ともいえるのです。
このような観点からも是非取り組むべきことといえるでしょう。
技術系業務推進に不可欠な技術専門用語。
この身近な言語ツールは若手技術者だけでなく、
中堅やベテラン技術者の教育や力量見極めの観点からも活用できるということを、
マネジメントとして認識することがポイントになります。
ご参考になれば幸いです。
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