若手技術者が成果を出すための 技術的経験蓄積 に向けた動きの最優先事項が何かわからない
公開日: 2019年9月3日 | 最終更新日: 2024年8月5日
Tags: メールマガジンバックナンバー, 技術者の自主性と実行力を育むために
専門性至上主義に異常なこだわりを見せる技術者。
専門性至上主義の弊害については過去にも以下のようなコラムでご紹介したことがあります。
これは、理系教育という教育環境が背景にあるため、
大なり小なり技術者のほぼ全員が持っている性質です。
しかし、企業としては技術者が
「色々な事を知っている」
というよりも、
「売上、利益に貢献する新しい技術を生み出す」
ということを期待するはずです。
どれだけきれいごとを言っても資本主義である以上、
資金が無くなれば会社は存在できなくなるからです。
かといって、経験はもちろん、
実務に必要な知恵が不足する若手技術者に対し、
上記のような役割を果たす道のりには段階が必要です。
若手技術者は知識を有することにあこがれる傾向にある
上記の期待も感じながら、
恐らく若手技術者のほぼ全員が望むありたき姿は、
「自らの知識を用いて世の中にない新しいものを生み出す」
ということだと思います。
これは素晴らしいことです。
実際、企業としてもここを期待すると思います。
ただ、上記の決意には危険が潜んでいます。
何かわかりますでしょうか。
知識だけでは評論家の技術者になる恐れがある
上記の答えは、
「知識」
という単語です。
知識というのは「知っている」という意味が強い。
まさに専門性至上主義を掲げる技術者の好む単語だと思います。
しかし、目指すような成果、いわゆる新しい何かを生み出すために必要なのは、
「知恵」
という表現の方が正しい。
何故かというと、知恵は知っていることを組み合わせ、
「どのような動きをすべきかという筋道を立てる」
というアクションを完結させるというところまで含まれているからです。
つまり、
「知っているだけでなく、知っていることを活用してどのように動くべきか」
という所まで考えられるのが知恵なのです。
知識だけを持っているのは評論家、
知恵を持っているのは実践家です。
知識ではなく知恵を身につけるには
この知恵は知識と異なり、残念ながら本をどんだけ読んでも、
講演やセミナーを聴いてもみにつきません。
ある程度知識をみにつけた後は、
「ある程度緊迫感の有る現場」
という泥臭い経験でしか培われません。
「緊迫感の有る」
ということが重要です。
最もわかりやすい例としては、
「締め切りが決まっているような時間軸の厳しい業務」
ということになります。
当事者意識をもって、時間軸の厳しい緊迫感の有る仕事を通じ、
どのようにしてそれを乗り切るのか。
そのような試行錯誤こそが、
技術者の陥りがちな専門性至上主義を超えた、
「知恵の習得」
に直結する
「技術的経験蓄積」
となるのです。
マネジメントを行うリーダーや管理職は任せながらもフォローすることが肝要
マネジメントを行う側にもポイントがあります。
「お前が責任をもって全部やれ」
と言葉をかけるのは非常に良いと思います。
しかし、全部やれといった言葉通りに、
相談があっても助言をせず、
お前がやるべきだ、という放任型では、
もし問題が生じた場合、その問題が大きくなることに加え、
若手技術者のモチベーションが低下し、
業務に支障が出るうえ、最悪の場合は将来ある若手技術者の退職となります。
お前が責任をもってやれ、という一方で、
「何かあった場合はマネジメントがフォローする」
というセーフティーネットを張っておくことが何より重要なのです。
相談してきたときは助言をし、
困っているように見える時は声をかける。
進捗も管理しながら、状況を常に把握する。
上記のようなマネジメントとしての基本に徹した接し方をすれば十分です。
まさに技術者育成の鉄則である
「任せてフォローする」
ということに尽きるでしょう。
このようなマネジメントのフォローと時間軸の厳しい仕事を任せるということで、
評論家のようだった技術者が、
実践力もある本当の意味での知恵を有する技術者へと成長していきます。
若手技術者が成果を出すための 技術的経験蓄積 に向けた動きの最優先事項が何かわからない、
という悩みを抱えた際のご参考になれば幸いです。
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