技術者の行う技術プレゼンテーションで最初に行うべきこと、理解すべきこと
公開日: 2023年6月19日 | 最終更新日: 2023年6月18日
最近は技術者にも「伝える力」というのが求められています。
このような時代背景が、技術者向けのプレゼン力というキーワードに関連する講演登壇依頼の増加につながっていると感じます。
※参考情報
〈2023年7月31日Webinar〉伝わる「文章力・プレゼン力」養成講座(演習付き)
今回は技術者に対するニーズが高まっている技術プレゼンテーション実施に関し、プレゼン力というキーワードも考慮しながら最初にさせるべきことについて考えます。
技術者に求められる伝える力とそれを応用した提案力
技術者を含む技術系社員に対して従来求められていたのは、
「技術的専門性をもって、新しい技術の創出や既存技術の進化、そして安定したものづくりの実現」
といったどちらかというと、顧客や市場から見て裏方のような業務が主でした。
しかし技術のコモディティー化が進んだ今、
「複数の技術を組み合わせて企業や個人に提案型業務により付加価値を提供する」
ということが技術者にも求められています。
社内外に対して提案するということにおいては、
「伝える力」
がその土台に必須です。この伝える力というものが多くの方にとっての
「プレゼン力」
と暗黙的に認識されているようです。
いずれにしても、プレゼンテーションを活用して伝えるということが今の技術者には避けられないものになりつつあります。
技術者は単なるプレゼンテーションではなく”技術”プレゼンテーションを主戦場にする
技術者育成の観点から多く認められる誤解の一つが、技術者がプレゼンテーションを行う主戦場です。
多くの企業においてはカリスマ経営者が行うようなプレゼンテーションを一つのベンチマークとして、いかにして伝わる技術を身につけさせるかと考えるようです。
当然ながら技術者にそのような教育を受けさせることに異存は有りませんが、そもそも何故技術者が企業戦略という最上位の視点から行うプレゼンテーションを見本にしなくてはいけないのでしょうか。
技術者は企業戦略を考える前に、
「日々行っている自らが推進する技術業務を俯瞰的に見渡す」
ということの方がはるかに重要です。
目の前のことをきちんとできないのに、スケールの大きな話を理解させようとしても仕方ありません。
よって技術者がプレゼン力というキーワードのスキルを鍛錬するには、
「”技術”プレゼンテーションを主戦場にする」
ということが前提条件となります。
技術プレゼンテーションで最重要は技術的な”事実”を明確に伝えること
技術者が技術報告書を作成できるようになることで、技術の伝承等を実現するインフラ構築に貢献すべきとこれまで何度も述べてきました。
これに関連して技術報告書作成に関する連載、コラム、メルマガ、動画等による情報の発信も行いました。
※関連情報
第9回 技術報告書テンプレートの留意点と作成法 日刊工業新聞「機械設計」連載
技術プレゼンテーションで最重要なことは何か。
この問いは技術報告書に向けたものと全く同じです。その答えは
「技術的”事実”を明確に伝える」
ということに尽きます。一般的なプレゼン力と認識される綺麗に見せる技術や、技術者がこだわりがちな考察はその次の段階です。
技術者が技術的な事実を伝えられなければ、技術プレゼンテーションを行う資格はありません。
自らの主観や外的要因等を排除し、技術的な事実は何なのかを客観的視点から明確に述べる。
決してぶれないこの姿勢が総合職との差別化に加え、技術者が最も恐れるべきデータの改ざん、捏造等の悪事に手を染めない防波堤となります。
※関連コラム
技術者は技術的な”事実”に対する敬意を払わなくてはならず、
その姿勢は技術プレゼンテーションでも全く同じです。
技術プレゼンテーション向けスライドはいきなり作り始めない
技術プレゼンテーションを行う技術者の大多数は、いきなりPower Point等のソフトを使ってスライドの作成を始めるようです。
ここで技術プレゼンテーションを行おうとしている技術者に質問すべきは、
「行おうとしている技術プレゼンテーションの全貌は見えているか」
ということです。
恐らく多くの技術者がNoと答えるはずです。
この対策として重要となるのがプレゼンテーションの企画書です。
プレゼンテーションの企画書では目的、到達点、聴講者そして技術的ポイントを明確化する
企画力というのは技術者の普遍的スキルの一つであり、
これまでコラムや連載でも取り上げてきました。
※関連情報
第12回 技術テーマ立案に不可欠な技術者の「企画力」鍛錬の勘所 日刊工業新聞「機械設計」連載
そして技術プレゼンテーションも全く同様であり、
技術プレゼンテーションに向けた企画書を作成することが肝要です。
この企画書内で必ず明確化しなくてはいけないのが、
・技術プレゼンテーションの目的
・技術プレゼンテーションの到達点
・対象とする聴講者
・技術的なポイント
の4点です。
これらを明文化させることで、技術プレゼンテーションの軸ぶれの抑制が可能となります。
上記4項目が技術プレゼンテーションの1ページ目を構成する部分です。
技術プレゼンテーションの大項目を羅列し、当該プレゼンの全体像を理解する
技術プレゼンテーションの企画書における2ページ目以降は大項目の羅列になります。
これは過去のコラムでも述べた通り、目次を作成するのと同意となります。
※関連コラム
大項目で構成される目次までできれば、少なくとも技術プレゼンテーションの全体像が見えるようになります。
リーダーや管理職はここまで情報が揃った企画書を確認し、
技術プレゼンテーションを通じて技術者が話そうとしている内容を理解することで、
当該プレゼンの基本構成に問題が無いかを見ておくことが重要です。
そして、技術プレゼンテーションを行う技術者はこの企画書を適宜見直しながらスライド資料を作成することが、やり直しや後戻りといったことを回避することが可能となり、結果として業務効率が向上します。
技術者は今後ますます「伝える」ということが必要になってきます。
しかしここで総合職と同じことを行ってはいけません。
技術職、すなわち技術者を含む技術系社員ならではの強みや特徴を出さなくては、自らの存在価値を高めることが難しくなるからです。
トレンドに流されず、技術者を含む技術系社員としての本質である
「技術的な事実を最重要視する」
という軸をぶらさず、そして企画書を活用した事前準備をするということが肝要です。
技術者育成に関するご相談や詳細情報をご希望の方は こちら
技術者育成の主な事業については、以下のリンクをご覧ください: