技術報告書における表とグラフ/図のキャプションの違い Vol.148

公開日: 2021年9月27日 | 最終更新日: 2022年3月1日

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技術報告書で必須ともいえる表やグラフ/図の表記。

 

 

これらの活用は、主観的または定性的な報告の「回避」に不可欠なものであり、
過去のコラムでも取り上げたことがあります。

※ 技術評価業務の 定性的・主観的 報告を改善するためには

 

 

 

このような表、グラフ/図の説明文として記載されるのが「キャプション」と呼ばれるものです。

 

 

技術報告書ではこのキャプションを適切に記載することが求められますが、
若手技術者の中にはその基本を理解していないケースも散見されます。

 

 

 

 

 

キャプションを記載する位置は表とグラフ/図で異なる

 

技術報告書の表とグラフ/図ではキャプションの記載位置が異なる

 

 

まず第一歩として知っておかなくてはいけないのが、

 

 

「技術報告書におけるキャプションの記載位置」

 

 

です。

 

 

 

このキャプションの位置は、表とグラフ/図で異なるためです。

 

 

技術報告書における表のキャプションは「表の上」、
グラフ/図は「グラフ/図の下」に記載します。

 

これは、技術報告書に限らず中高生の各レポートはもちろん、学術論文でも一緒です。

 

 

一般的には中高生の授業、大学であれば普段の授業に加え、
卒業研究を行う研究室で必ず指導されるポイントといえます。

 

 

 

このような基本ができていないと、
技術報告書の中身以前にその体裁が整っていないという印象によって、
質が低いという判断をされてしまいます。

 

 

よって、社内の技術報告書はもちろんですが、
委託業務の成果物として顧客に提出する結果報告書で上記のようなものを提出してしまうと、
顧客からの技術的な常識を疑われてしまうことにもなりかねません。

 

 

技術者育成においてはこのような基本的なことについても、
念には念を入れる形で教育をしておくことが求められます。

 

 

 

 

 

キャプションを見れば表やグラフ/図の概要がわかるように記載する

キャプションについて留意すべきは記載位置だけではありません。

 

キャプションのそもそもの役割である、

 

「それを読めば概要がわかる」

 

というものであることが求められます。

 

 

しかし技術者は

 

「自分がわかっているから読者もわかるだろう」

 

という潜在意識により、キャプションを淡泊に書きすぎるため、
キャプションとしての役割を果たせていない場合が多くあります。

 

 

キャプションとして代表的な事例を以下に示します。

 

– 何に関するものなのかをつかめるようにする。

 

→予測値と実測値の比較であり、それが温度変化に関するものであることを示すには、

 

「温度変化の回帰分析による予測値と実測値との比較グラフ」

 

といったキャプションが一案。

 

「温度変化のグラフ」

 

だけだと、概要がわからない。

 

 

– 複数のグラフや図を同時に説明する

→(左:○○ 右:XX)といったそれぞれに対する説明をつける。
これらの説明がないと、データの見方がそもそもわからない。

 

 

– 参照データである場合、「*」等をつけてその旨表示する。
→ ”* 技術報告書○○-XXXによる”といった記載をする。
実際に評価したものなのか、過去のデータから引用したのかの区別が可能となる。

 

 

 

技術報告書を読む場合、
読者は細かく見るよりも、まず図表と結論の部分で概要を把握する、
ということを行おうとします。

 

 

その際の理解を助けるのが、
キャプションになるのです。

 

 

本文を読み込まなくては概要がつかめないものだと、
読む側に解読するための労力を強いることになります。

 

 

 

キャプションは技術報告書の理解を手助けする大変重要な役割を担っているのです。

 

 

 

 

 

技術報告書の作成力は技術者にとって最重要のスキルの一つです。

 

一言でいえば論理的思考力ですが、
その論理的思考力の本質は、

 

「感情や私情を排除し、どこまで客観的事実をわかりやすく述べられるか」

 

ということにあります。

 

 

本観点においてキャプションというのは、
その書類の質を示す一指標になると同時に、
上記の本質を担う重要な一要素でもあるのです。

 

 

 

ご参考になれば幸いです。

 

 

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