技術力は高いがまとめる力、伝える力が弱い技術者をどう生かせばいいかわからない Vol.117
公開日: 2020年7月20日 | 最終更新日: 2020年7月18日
Tags: OJTの注意点, できる技術者をさらに伸ばす, メールマガジンバックナンバー, 技術者の評価, 技術者人材育成
技術者の中には、専門知識というよりは、
「技術的な感性が高い」
という、
「天性的な技術力を有する技術者」
もいます。
このような方々は、
技術を使って様々な課題に取り組めるという部分もあるため、
企業としては重要な戦力です。
技術的な課題に直面した時、
新しい発見があった時、
目を輝かせて仕事をしてくれると思います。
技術力というセンスと反比例することの多いバランス感覚
しかしながら技術力のセンスのある技術者は、
時に 伝える力 が不足している故にコミュニケーションが苦手であったり、
自らの興味のあるところだけに注力する等、
従業員としてのバランス感覚に欠ける場合もあります。
そのため、企業によってはその技術力を十分に発揮させることも、評価することもできず、従業員としては日の当たらない日々を過ごしているというケースも少なくありません。
企業における技術者の業務が、
複数人の関わるチームプレイベースで進むことを考えれば、
上記の状況は頭から否定できるものではありません。
単独で走り始める、
走り始める方向がずれているということが増えれば、
本来組織として達成したい成果から離れてしまい、
貴重な業務時間を無駄にする可能性もあるからです。
その一方で技術者としての力量はあることを考えると、
力を引き出したいというのがマネジメントの本音であり、
人材不足の叫ばれる昨今においては、貴重な人材をむげにはできないでしょう。
技術力のある技術者の 伝える力 を手助けする若手技術者の任命がポイント
では、どのようにして上記のような技術者の力を引き出せばいいのでしょうか。
結論から先に言うと、
「文章作成力の高い若手技術者を抜擢し、技術力の高い技術者の下につけ、代わりに発信させる」
ということになります。
当社で顧問先としてサポート開始した企業においてまず行う、
「技術報告書の書き方研修」
における課題の取り組み方、出てくる結果を見れば概ねどの技術者の方が文章作成力を有するかはわかります。
そして、この力は一般的に年齢や職歴は関係なく、
その人の有する基礎力が大きな影響を与えることがわかってきています。
上記のような見込みのありそうな技術者のうち、
若手を選定するイメージとなります。
高くなくとも、こちらが行ったことをきちんと文書化し、
それを報告できる一般的レベルがあれば大丈夫です。
このような若手を上述した技術力が高く、
しかし情報のまとめや発信が苦手な技術者の下につけるのです。
本取り組みは様々な効果が期待できます。
若手技術者は技術力ある技術者から生の技術を色々と学ぶことができます。
これは、OJTにおいて重要な教育形態の一つです。
直接学べる機会が限られる昨今の潮流において、
大変貴重な取り組みです。
技術力はあるがまとめる力、 伝える力 が不足する技術者にとっては、
自らの考えていること、取り組もうとしていることを整理してもらい、
それを社内外に展開してもらうことは、
自らの技術力の周知と次の展開に必要な社内外の応答を得ることができます。
技術力の高い技術者を生かすために
社内において技術者の技術力の高さを評価するには、企業側やマネジメント側にその力量があることに加え、技術者自身も的確に技術でもたらされる利点を説明するという発信力が求められます。
このどちらかが欠落してしまうと、
技術者最大の武器ともいえる技術力を企業が生かせない、
という大変もったいない状況に陥ってしまいます。
そうならないためには、技術力を有する故に欠落している部分を、他の若手技術者で補いながら、お互いの教育につなげていくという、柔軟な人事体制が不可欠とも言えます。
そして当然ながら技術力を武器として生き残るという企業戦略があるのであれば、社内に技術力がある人物を人選することに加え、必要に応じて技術力を客観的に判断する社外の技術エキスパートの協力を仰ぐというのも一案です。
純粋に技術の評価をすべき人物が望ましいため、技術的な理解力があることはもちろん、社内政治と無関係の方が最適です。
COVID-19により、旧態依然とした組織マネジメント体制は技術者集団でも不要になりつつあります。
技術者の強みはやはり技術力です。
その技術力をいかんなく発揮してもらう環境を、
社内の技術者に準備できるか否かが、
これからの企業の生き残りに不可欠な取り組みであるに違いありません。
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