やらなくてはいけないでしょうかと発言する若手技術者は組織の荷物となる

公開日: 2022年10月24日 | 最終更新日: 2022年10月24日

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やらなくてはいけないでしょうかという前にまずやってみることが肝要

 

 

 

 

経験が不足する若手技術者の中には、
必要以上に効率を重視するため業務の選択と集中をしようとする方々が居ます。

 

 

そのような若手技術者が良く発言することに、

 

 

「やらなくてはいけないでしょうか」

 

 

「やらなくてはダメでしょうか」

 

 

というものがあります。

 

 

 

このような発言の裏にある技術者の心理とリーダーや管理職の取るべき対応について考えます。

 

 

 

 

 

自尊心の低さによる不可解な主張

 

反論を軸とした自己主張をする、
経験や知識の無さを自己原因ではなく経験の無さによるものと述べる、
進捗が遅れることを時間が無いためと業務バランスを原因と指摘する。

 

 

このように一見すると主張をきちんとする若手技術者達も、
根本的に共通しているのは自尊心の低さです。

 

この自尊心の低さは、

 

 

 

・自分は能力が低いわけではない

 

 

・原因は自分にではなく、周りにある

 

 

 

このような主張促進の影響を与えます。

 

 

 

 

 

主張の根底にあるのは何か

 

この原因は未だ明確にはわかっていませんが、教育段階においてよく言われる

 

 

「間違ったことを言うと減点されるという原点主義」

 

 

の見直しによって、同教育において海外のやり方や考え方のわかりやすいところだけを切り出した、

 

 

「自己主張しないと減点される」

 

 

といった考えによるものと考えます。

 

 

 

主張の低質化が問題

 

主張というのは自らの考え方があって初めて成立するものです。

 

主張の根底にある考え方を色々と聞き出すと、

 

 

「反論」

 

 

に集約されるということが大変多いはずです。

 

 

 

左といったことを右、
表といったことを裏、
という主張は小学生どころか未就学児でもできます。

 

 

 

主張をするということが目的となってしまい、
主張の内容の質を上げるということが伴っていないため、
主張を通じた議論にならないという問題が生じます。

 

 

 

冒頭紹介した自尊心の低さを隠すための主張というのもこの一種であり、

 

 

「自尊心を隠すために自分以外に原因があると主張する」

 

 

という所が目的となっており、主張を出発点とした議論には発展しません。

 

 

 

これは単なる「わがまま」という判断をされても、
それこそ反論するのは難しいでしょう。

 

 

 

 

 

やらなくてはいけないでしょうか、という主張の深層心理

 

改めてやらなくてはいけないでしょうかという発言の心理について考えてみます。

 

既述の通り技術者は自尊心が低い傾向にあります。

 

これに対応するため、できる限り早く自信をつけるため主観的な業務の選定に着手します。

 

 

この辺りは以下のコラムでも述べたことがあります。

 

 

 

・関連コラム

 

これは 自分の仕事ではない という言動が若手技術者に見える

 

 

 

この選定を行うにあたり、若手技術者本人が

 

 

 

「自らの成長には直接関係なさそうだ」

 

 

 

と”主観的”に判断すると、どうしたらその仕事を回避できるかを考えます。

 

 

 

特に明らかにやらなくてはいけない仕事ではなく、
やらなくても何とかなるのではという仕事を目ざとく見つけ、
その仕事に対して若手技術者がよく使うのが

 

 

「やらなくてはいけないでしょうか」

 

 

「やらなくてはダメでしょうか」

 

 

という言葉なのです。

 

 

 

やらなくても何とかなる仕事と自分は考えているので、
見逃してもらえないでしょうか、
といったところでしょうか。

 

 

 

しかし、このような姿勢は様々なリスクを”将来的”に若手技術者に背負わせることになります。

 

 

 

 

 

グレーゾーンの仕事から逃げ癖のついた技術者は守備範囲が狭く、必ず組織の荷物になる

 

「やらなくても何とかなる仕事」というのは、
いわゆるグレーゾーンにある仕事になります。

 

 

これはうまくかわすことができれば、
その後も同様のやり方で回避することもできるようになります。

 

 

 

ただしこのような業務回避によって若手技術者にもたらされるのは、

 

 

「経験不足による守備範囲の狭さ」

 

 

です。

 

 

 

明らかに必要な業務だけをやっていては得られる経験も限られるので当たり前です。

 

 

 

守備範囲の狭い技術者が将来的にどのようになるのかについては、
以下のような関連コラムをご覧になるとイメージが付くかもしれません。

 

 

・関連コラム

 

技術者にとって回避したい 丸投げ 思考

 

他に業務があるため対応できないと言う技術者

 

若手技術者が 口ばかり で動かない

 

 

 

若いうちはまだ何とかなります。

 

 

 

しかし30代を超え中年かつ中堅の位置づけになってきたとき、
上記のような技術者に対して組織はどう感じるかは容易に想像できるのではないでしょうか。

 

 

 

明らかに無駄な業務を減らしていくのは重要

 

誤解を招かないように加筆しておくと、
明らかに無駄な業務は無くしていかなくてはいけません。

 

 

無駄な業務である可能性の筆頭は”打合せ”や”ミーティング”です。

 

 

この辺りは以下のようなコラムでも取り上げたことがあります。

 

 

・関連コラム

 

定例 ミーティングにおける注意点

 

いずれにしても、グレーゾーンにある業務の中に無駄があるのかについては、
リーダーや管理職は常に目を光らせ、
それを指摘した若手技術者の意見にも耳を傾けることは重要です。

 

 

 

 

 

その仕事の意義は自分ではどう考えるかを投げかけ、考えさせる

 

改めて、

 

「やらなくてはいけないでしょうか」

 

 

「やらなくてはダメでしょうか」

 

 

 

という主張をグレーゾーンの仕事に対して述べる若手技術者に対して、
どのような対応をとればいいのでしょうか。

 

 

是非やっていただきたいのが、

 

 

「その仕事の意義は自分ではどう考えるか」

 

 

という言葉です。

 

 

 

この問いかけに対して妥当な返答が若手技術者から出て、
しかもそれが必要ないという旨であれば、
既述の通りそのグレーゾーンの業務はそもそも無意味な可能性もあります。

 

 

 

しかし経験の浅い多くの若手技術者は、

 

 

「それは必要ないと思います」

 

 

といった、最も単純な反論をベースにした主張を繰り返すだけだと思います。

 

 

 

 

そこであえて答えを簡単には与えず、
リーダーや管理職の期待する答えが出るまで若手技術者に発言をさせてください。

 

 

 

 

 

最終的に若手技術者に理解させるべきは実経験無くして実践力は身につかないということ

 

 

やらなくてはいけないでしょうかではなく、自分のためにやる

Photographed by Anna Tarazevich

 

 

上述のようなやり取りを繰り返していると、
最後は若手技術者も言葉に詰まるはずです。

 

 

 

この瞬間に若手技術者の心理の中では、

 

 

「やらない理由を見出すことができなかった」

 

 

という感情が芽生えます。

 

 

 

そこで間髪入れずに、

 

 

「明確なやらない理由を見いだせないのであれば、まず何度かやってみてその後でまた議論しないか」

 

 

と若手技術者に伝えてください。

 

 

 

リーダーや管理職は必ずしも答えを若手技術者に与える必要はありません。

 

 

 

 

それよりも、

 

 

「何かを主張するには、一見無駄と思われるものも含めて実体験が無いと中身が無いとみなされる」

 

 

ということを理解させることが重要なのです。

 

 

つまり、

 

 

「本当に無駄か否かはやってみないとわからない」

 

 

のです。そしてこの考え方を理解することこそが、

 

 

 

「実業務経験無くして、実践力は身につかない」

 

 

 

ということの理解につながり、守備範囲の拡大につなげることができるのです。

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

 

 

一見無駄と思われる仕事の経験が、
後に思わぬ形で力となって発揮する可能性は十分にあります。

 

 

技術者の方々が若いうちは自ら仕事を選定することなく、
グレーゾーンの仕事であっても、
実際にやってみることで得られることが多いと実感してもらうことは大変重要です。

 

 

そのためにも、今回ご紹介したような投げかけを行い、
言葉が詰まるまで若手技術者に発言をさせ、
その上で取り組ませるという粘り強い姿勢が、
リーダーや管理職に必要だと考えます。

 

 

 

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