技術者人材育成総括2021
公開日: 2022年1月3日 | 最終更新日: 2023年8月5日
Tags: マネジメント, メールマガジンバックナンバー, 技術者の上司とは, 技術者の年齢, 技術者の自主性と実行力を育むために, 技術者人材育成, 自分で考えられない技術者
今週は新春特別号として、
昨年のメルマガでアクセス数が多く、読者の方の関心が高かったものを中心に抜粋して振り返ってみたいと思います。
尚、以下のタイトル名をクリックすると実際の記事のページに移動します。
技術専門用語の習得が遅い若手技術者 Vol.131
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今日のワンポイントは、
「技術専門用語の習得が遅い若手技術者」
がいると感じている場合、
「技術専門用語を使わずに当該専門用語を解説するということを中堅以上の技術者にやらせる」
ということを実行してください。
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技術者にとって専門性よりも技術報告書作成力に裏付けられた論理的思考力が重要である。
これは何度もコラムやメルマガで述べてきたことです。
しかし、やはり技術者である以上、技術的な専門用語の習得は共通言語の理解という観点から不可欠な知見です。
わからないことを「わからない」といえない若手技術者、
「自分たちは苦労して習得してきた」という過去の経験に脚色しがちな中堅、ベテラン技術者。
これらの異なる立場からのみの視点によるすれ違いが、
専門用語習得の障害となっているケースが足かせとなります。
上記ではあえて技術的専門用語を、難解な専門用を用いずに若手技術者に説明させる、
ということで油断しがちで、スキル向上への情熱も薄れがちな中堅、ベテラン技術者に外圧をかけ、
同時に彼ら、彼女らの論理的思考力を見極めるという取り組みです。
社内の技術系チームに良い形での緊張感を持たせることができるうえ、
若手技術者の専門用語習得を後押しできるという、一石二鳥の取り組みといえるでしょう。
他に業務があるため対応できないと言う技術者 Vol.134
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今日のワンポイントは、
「他に業務があるため今それをやる余裕がありません」
という発言を若手技術者がした場合、
「技術者の担当業務を把握の上、他の業務を止めてもいいので○日後までにアウトプットを出してほしい」
ということを指示してください。
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やはりこの手の発言をする技術者が多いのだということを裏付けていると感じています。
成果を焦りすぎる若手技術者もそうですが、
停滞期にはいった中堅技術者にもよく見られる業務回避の姿勢です。
中堅になってそのような発言をするのは、若手のうちに優先順位をつけられたうえで、明確な納期を示され、
それを目指して自分事として仕事をするという、技術者としての業務経験がないという裏返しでもあります。
更に、マネジメントを一般的には好まない上、自分でやった方が早いと考えがちな技術者は、
マネジメントになっても自ら手を出してしまう。
これが業務完遂力が無く、必要な業務から逃げるという技術者の創出を後押ししているとも言えます。
または力づくでもやらせるという昭和の考え方のマネジメントもいるようですが、
それは昭和に限らずいつの時代も正しくはありません。権限の使い方が間違っているのです。
まずは若手技術者の現状把握を行い、その上で見合った納期を設定の上で、
明確なゴールを示す。
権限による圧力でも、若手の言い分を聴きすぎて何も言わないのでもなく、
極めて客観的な状況把握と明確な時間軸設定をするというのが、
業務回避をする技術者を生み出さないための技術者のマネジメントなのです。
技術エキスパートにするにはどのようなスキルが最も必要か Vol.137
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今日のワンポイントは、
「技術エキスパートにするにはどのようなスキルが最も必要か」
ということを考える場合、
「技術報告書を確実に書ける論理的思考力に裏付けられた文章作成力が最重要である」
ということを念頭に指導してください。
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これは何度も何度も述べてきたことで、
やはりここに課題を感じている技術者の方、またはマネジメントの方が増えてきているのかもしれません。
専門性至上主義を脱し、技術報告書を主体とした文章作成力を、王道の無い地道な文章作成業務の蓄積によって徹底的に鍛え上げる。
そしてこのような技術者の本質的な普遍スキルの習得には、
効率化が求められる現代と逆行するかのような地道な積み重ねが必要である。
そんなことを気が付いていただける事例としていただければ幸いです。
心理学の内的統制と外的統制によって変わる技術者育成 Vol.138
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今日のワンポイントは、
「内的統制と外的統制に該当する技術者はそれぞれどのように育成すればいいか」
ということを考える場合、
「内的統制タイプは技術報告書を徹底的に書かせる、外的統制はやるべきことを活字で指示を出す」
ということを行ってください。
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技術者の育成タイプを検討するにあたり、
心理学という切り口で考えた内容でしたが、
大変多くの方にお読みいただいたようです。
内的統制と外的統制は以下のように分けられると述べました。
・内的統制:ある出来事がおきた原因を自分の中にあると考える
・外的統制:ある出来事がおきた原因を自分の外にあると考える
内的は外を見ない引きこもり、外的は自分を見ないで他責にする/逃げるのが特徴です。
前者には技術報告書を徹底的に書かせて外に目をむかせ、
外的はやるべきことを繰り返し確認が可能な活字で指示を出すのがポイントになります。
技術報告書の書き方の鍛錬の第一歩 Vol.141
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今日のワンポイントは、
「技術報告書の書き方の鍛錬の第一歩は何から取り組ませればいいかがわからない」
という悩みが生じた場合、
「技術報告書の目的を明文化させる」
ということをまず取り組んでください。
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技術報告書作成スキルは技術者育成において本質であり根幹ですが、突き詰めていった際に
「まずは何から取り掛かるべきか」
という第一歩について述べたものです。
当然ながら何事も目的をきちんと理解させる、また指示するマネジメント側も理解しないと、
すべては始まらない。
見逃されがちな観点にあえてスポットを当てたのがこの内容になります。
技術者がデータの同等性を技術的に判断できない Vol.144
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今日のワンポイントは、
「技術者がデータの同等性を技術的に判断できない」
ということを感じた場合、
「統計学を基本とした検定を使えるようにする」
ということに取り組んでください。
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基本的には本メルマガは技術者育成というテーマで記述を行っていますが、
複数の顧問先で技術的内容を、感覚論をベースに同等性の事を述べようとする技術者があまりにも多いため、
危機感を共有する意味でも取り上げたテーマでした。
t検定、分散分析等、平均値の同等性を評価する手法を知らないだけでなく、
これらの区別がつかない、Excelの関数でやるだけで統計学の意味を知らない。
そのような技術的理論が弱い技術者が激増していると感じます。
数学は技術者にとっての基本中の基本です。
数式に弱い技術者が増えているというのも大きな問題といえます。
これは様々な技術者に対して、基礎的な数学の指導を行った際の応答を見ていても実感できることです。
技術者にとっての当たり前ともいうべき数学の重要性を、
改めて考えるきっかけにしていただきたいと思います。
技術報告書における表とグラフ/図のキャプションの違い Vol.148
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今日のワンポイントは、
「若手技術者が技術報告書内の表とグラフ/図のキャプションの違いが判らない」
ということを感じた場合、
「表は上、グラフ/図は下に記載し、それを読めば概要がわかるようにする」
ということを伝えてください。
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このテーマは実際に顧問先で技術報告書以前に、
キャプションの意味や書き方からわからない技術者と多く出会ったことで取り上げたテーマです。
読んだ方が多かったということは、やはりこの辺りの事を知らず指摘を受けた、
または能動的に知ろうとして検索されたケースがあったものと考えます。
本来、高校までの学校教育で押さえておくべき観点ですが、
専門学校、高専、大学、大学院を出ていてもできていない技術者もいます。
技術者という企業での活躍が期待される理系人材の基礎教育にも、
多大なる課題があることを示す一事例かもしれません。
技術者に求められるリーダー像 Vol.152
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今日のワンポイントは、
「技術者に求められるリーダー像を社内でイメージ化したい」
と考えた場合、
「自分に厳しく鍛錬を継続する一方で実務にこだわらず、技術的に最も重要な観点に絞って現場に伝えるようにする」
をという方向性を示すようにしてください。
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リーダーと管理職を一緒くたにする考えが多いため、
このテーマを取り上げました。
技術者は基本的に論理的思考力を基本とし、その上に技術的専門性をうまく積み上げながら、
技術的課題の解決や新しい技術の創出について、その完了までやり切るということが求められます。
しかし、加齢に伴って頭脳的体力も落ち、
スピード感も追いつかなくなるうえ、自分のできることの範囲がわかってきます。
この時にいきなり管理職に抜擢してしまうケースもあるようですが、
その前に技術的なリーダーを経由させるのが大切です。
ワンクッション置くイメージになります。
技術的リーダーはあくまで技術的観点に注力し、部下をしかるべき方向に導くには、
技術的に最重要な観点、すなわち「技術的本質」を見出す必要があります。
この鍛錬が技術者が管理職になる前の段階で必須なのです。
技術的本質を理解しないまま管理職になると、
何をしていいのかわからず自らの役割と存在意義を見出すところから試行錯誤するなど、
モチベーションが上がらないまま無駄に時間が過ぎることになります。
技術者としての実務を離れる前に、技術の本質を俯瞰的に見えるようにする。
是非人材育成計画の中に取り入れていただきたい内容となります。
いかがでしたでしょうか。
今年は顧問先での実際の課題を引き合いに、
より具体的な課題とその解決法について言及するようにしました。
結果、ご自身の事として引き寄せていただけるケースもあったものと考えます。
昨年もCOVID-19による影響が大きかった一年でしたが、
これにより顕在化しているのが、
「技術者のベーススキルの低さ」
です。
自分の限られた殻に閉じこもる、
考えずに仕事を丸投げする、
きいたことを伝書鳩のように右から左へ流す。
今までは何とかそれでも成立していた業務が、
簡単には対面で会えなくなったことで情報の伝達精度は低下し、
さらに自己管理ができないため自分では何をしてもいいかわからず迷うことが増えた結果、
結局仕事が進まないということが多発したようです。
技術者にとって最重要の
「考えた上で、周りと相談しながら具体的な行動に落とし込む」
ということができないことが、在宅勤務をはじめとした自己の力量を試される環境で露呈したのではないでしょうか。
今後はより低賃金で、ベーススキルの高い技術者が日本以外のアジア国でも増加してくるでしょう。
彼ら彼女らは元々違う国の企業とテレワークなどを通じて仕事をする事が必須とされているため、適用力も高い。
日本企業の技術者は、これからますます
「技術者としての普遍的スキルは何か」
ということを自ら問い続け、その解を得るために試行錯誤することが求められると考えます。
本年も地道に技術者の普遍スキルに関連する話を取り上げていきたいと思います。
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