これは 自分の仕事ではない という言動が若手技術者に見える

公開日: 2020年3月30日 | 最終更新日: 2024年9月8日

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 自分の仕事ではない

( The image above was referred from https://www.braindirector.com/simple-techniques-for-dealing-with-rejection/ )

 

 

今日のコラムでは「これは自分の仕事ではない という言動が若手技術者に見える」という悩みについて考えてみます。

 

 

若手技術者が成果を焦ることによる自己判断による業務の選定

将来有望な若手技術者は、
基本的に仕事に対して前向きです。

 

その一方で、若手技術者の考えの根本にあるのが、

 

「知っていることこそ正義という専門性至上主義にとらわれた自尊心の低さ」

 

です。

 

 

この自信の無さゆえに、
成果を焦り、それが結果として

 

「早く成果を出して、自分の社内での存在価値を認知させたい」

 

という考えにつながってきます。

 

 

 

 

しかし実務経験の浅い若手技術者は、
どのようにすれば成果が出るのかがわからない。

 

 

そこで、

 

「自分が少しでもわかる事、自分が興味ある事の仕事に集中し、それ以外を排除する」

 

という行動につながってきます。

 

 

 

このような思考回路を経て、

 

 

「これは 自分の仕事ではない という言動が若手技術者に見える」

 

 

という形で表面化してきます。

 

 

 

 

自己判断で業務選定を行う技術者の行く末

マネジメントとしてぶれてはいけない考えとして、

 

 

「自らの業務範囲や業務量に自己判断で線引きする技術者は将来戦力にならない」

 

 

ということがあります。

 

 

マネジメントとして目指すべき技術者の姿というのは、

 

 

「自ら課題を見つけ、その解決に向けて実行できる実行力を有する」

 

 

ではないでしょうか。

 

 

 

 

自ら課題を見つける、というためには自らの業務をより高い視点から見るということが求められます。

 

 

それを解決に向けて実行する、というためには幅広い専門性や実務経験を踏まえた経験値が求められます。

 

 

どちらのスキルも、

 

 

「自らのわかる範囲、興味のある範囲、経験のある範囲の外側へどれだけ踏み入れた経験があるか、
そして自らが考える自分の業務許容量の限界をどれだけ超えたことがあるか」

 

 

ということが共通して強く求められます。

 

 

 

 

技術者が自らのスキルを上げるには時間制限がある

間違いなく言えるのはこれらの経験は若いうちしかできません。

 

年齢を重ねると体力や柔軟性が低下し、
また仕事上でも様々なしがらみや制限が出てくるからです。

 

 

逆の見方をすれば、

 

 

「若いうちに自らの業務範囲や業務量に対し、自らの判断で線引きをしていると、成長はある段階で止まる」

 

 

ということになります。

 

 

 

 

よって、若いうちこそ様々な事を、ある程度はオーバーボリュームで経験させることは必要不可欠です。

 

 

とはいえ、マネジメントは体育会系のように押し付けるだけ、
職人のように背中を見せるだけ、というわけにはいきません。

 

 

不安定な社会情勢に加え、
技術開発の競争がグローバルで激化する昨今、

 

 

「技術者育成にも高い効率が求められる」

 

 

という状況であり、育成に時間をあまりかけられないのが実情だからです。

 

 

 

マネジメントに求められる若手技術者への業務指示方法

では、自らの判断で業務の線引きや選定を行う若手技術者に対してどのように向き合えばいいのでしょうか。

 

 

結論から先に言うとマネジメントとして求められるのは、

 

 

「仕事の目的と必要なアウトプットを活字で示す」

 

 

という作業です。

 

 

これは、多くの元技術者のマネジメントが不得意とする、

 

 

「感情を排除した精度の高い情報伝達」

 

 

を具体的にどのようにすればいいのか、
ということを示したものになります。

 

 

 

今までも当社コラムで述べてきているように、
技術者は論理的思考力が欠けている傾向が強いです。

 

 

私の考える技術者にとって論理的思考力の重要なポイントとは、

 

 

「自らの考えていることを第三者目線で把握し、それを第三者にわかりやすく伝える」

 

 

であり、この力量を見極めるのに最も精度が高い手法が、

 

 

「技術文章を書かせる」

 

 

ということです。

 

 

 

 

論理的思考力が不足するマネジメントと若手技術者

教育によるものなのか、文化によるものなのかわかりませんが、
これまで出会ってきた民間企業の技術者の方々で初めから技術文章が書けるという方は、
若手だけで見ると10%以下、中堅まで入れて20%程度です。

 

 

 

大学3年生、4年生を対象に簡単な技術文書を書いてもらう課題を出しますが、
割合的にはほぼ同じ(10~20%)です。

 

 

つまり、技術者の実務を通じて技術者の論理的思考力は、
学生の段階からあまり進歩が無いといえます。

 

 

このような背景を踏まえると、技術者のマネジメント層も論理的思考力に不足がある可能性が高く、結果として

 

 

「論理的思考力の不足するマネジメントと論理的思考力が不足する若手技術者の間のコミュニケーション」

 

 

という状態になります。

 

 

この場合、先述の通り若手技術者が自己判断で業務量や業務分野の選定や線引きを始めてきた際、
どのように指示すべきかわからなくなり、
マネジメントとしては感情に任せた叱責という形をとらざる負えなくなります。

 

 

 

もちろん時にそのような感情のぶつかり合いは不可避であり、
頭から否定するものではありません。

 

 

ただ、企業は営利団体である以上、組織としての維持成長と、
その基礎となる技術者人材育成を早めたいのが本音。

 

 

よって、ここはまずマネジメントが自らの不得意な事、もしくは避けてきたことに挑戦し、
若手技術者に歩み寄ってみることが必要です。

 

 

「仕事の目的と必要なアウトプットを活字で示す」

 

 

 

というのはマネジメントにとっては負荷のかかることであり、
技術文書の作成経験が浅い元技術者であれば余計に大変だと考えますが、
ここはぜひ挑戦いただきたいと思います。

 

 

 

 

マネジメントが指示事項を活字媒体で目的とアウトプットを伝える意義とは

上記のアクションの目的について述べます。

 

 

まず「目的の明示」です。

 

・何故その仕事が必要なのか

 

ということを理解させることに加え、
必要に応じて、

 

・その業務が必要になった背景

 

を追加で伝えることも重要です。

 

 

 

このようなことを理解することで、若手技術者は何故それをやるのかという動機付けを見つけられる可能性が高まります。

 

 

技術者としては、何故、どうして、という疑問を持つことは必要であり、
それを問いかける若手技術者の質問に答えるという意味もあります。

 

 

そうすることで初動のモチベーションを高めることができるでしょう。

 

 

もちろん、この段階で若手技術者から質問等がありましたら丁寧に答えてあげてください。

 

 

 

 

 

次に必要な情報が「求められるアウトプット」です。

 

その業務を通じ、結果としてマネジメントは何が欲しいのか。

 

 

それを正確に伝えるのは、到達すべきゴールの位置を伝えることと同じです。

 

 

最終到達地点をわからずに仕事をすることは、
モチベーションが高まらないことに加え、
不必要な遠回りをする可能性もあります。

 

 

このような事態を避けるためにもアウトプットはきちんと伝えるべきでしょう。

 

 

 

「活字で示す」ということの一番重要な意味は、

 

 

「後で確認ができる」

 

 

ということです。

 

 

 

目的やアウトプットは何だったか、ということについて活字で示されていれば、
若手技術者が必要な時にいつでも振り返ることができます。

 

 

結果として、業務内容に対する若手技術者の疑問を最小化させ、
まずは目の前の業務を推進させるということができるようになります。

 

 

このような地道な積み重ねが、
結果として若手技術者自らが考えている業務範囲や業務量の限界を超え、

 

 

 

「自ら課題を見つけ、その解決に向けて実行できる実行力を有する」

 

 

 

という姿へ近づいていくこととなります。

 

 

 

是非、若手技術者の業務指示の中に取り入れてください。

 

 

 

 

 

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こちらの記事も合わせてご覧ください。

 

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