すぐ「資料を作って」と、若手技術者の口頭説明に対して言っていませんか

資料作成という悪癖

 

何かを説明してもらうとき、どんな小さなことでもすぐに「資料を作って」と言っていませんか?

 

技術者に限ったことではありませんが、資料を作るほどの内容でなくても、 

  

「資料を作って」 

  

が口癖の人は意外にも多いのです。 

 


「資料を作って」とすぐに言ってしまう技術者にはある重大な力不足を露呈しています。

 


それは、


「論理的思考力の欠如」


です。

 

 

パワーポイントをはじめとしたプレゼンテーション用のソフトが進化したこのご時世、素人でもかなりきれいなプレゼンテーション資料を作成できるようになりました。


ところが、プレゼンテーション資料というのは便利な反面、技術者のベーススキルの根幹である論理的思考力を衰えさせてしまう恐れがあるのです。

 

 

ここ数か月の間に、専門的な内容を含む技術報告書、論文を何報作成しましたか?

 

 

ときかれて、答えに窮してしまう技術者の指導者層の方は要注意です。

 


プレゼンテーション作成技術というのも大切なスキルであるのは間違いありませんが、技術者に求められるのは、


「自主的に問題を発見し、それを解決できる実行力を有する」


という理想像に向かうことです。

 

この理想像に近づくために必須なのは、論理的思考力。

 


そして、この論理的思考力を技術者がみにつけるには、文章作成力を鍛えるのが最も効果的です。

 

世の中にあふれる「ロジカルシンキング」、「論理的思考法」といったものは、すべて一般論でしかありません。

 

本当の意味で論理的思考力をつけるには、文章を大量に書き、それを添削してもらう事で文章作成力を徹底的に鍛え上げることでしかみにつかないのです。

 

 


話を元に戻します。


さて、なぜ「資料を作って」という技術者は論理的思考力が欠如しているのでしょうか。

 

 


それは、


「口頭の説明をきちんと理解できず、ビジュアル的に理解したい」


という深層心理が働いていることをあらわしているからです。

 

 

もちろん、口頭説明をしようとした若手技術者の説明がよくわからないという事もあるでしょう。


では、そのような時は、どうすればいいのでしょうか。 

  
ポイントは「手書き」と「聴きだす」ということです。 

  

  
もし、説明に来た技術者の言っていることがわからない場合、白紙の紙を用意し、その場で手書きで説明してもらいながら話を聴くというのをやってみてください。 

  

  

この時、説明する側も手書きで色々説明するので頭が活性化されます。 

  

  

あ、こんなこと忘れていたかも。 

  

あ、なるほど、そういうこともあるかも。 

  

  

そんな頭の動きが起こることでしょう。 

  

  

  

  

そしてもう一つのポイントが聴きだす。 

  

人は資料を作るということではなく、「話すこと」で頭が整理されます。 

  

このきっかけを与えてあげることがとても重要となります。 

  

  

  

説明を受ける側はせっかちにならず、一度相手に話させることです。 

  

そして、聴いてあげることです。 

  

  

  

このようなやり取りを通して、 

  

「相手に分かり易く話さなくてはいけない」 

  

と考えさせることで話し相手である若手技術者の人材育成につながっていくのです。 

 

 

 


若手技術者は当然ですが、その指導をする技術者も高い論理的思考力をみにつけ、社内のコミュニケーションを円滑にしたいものです。

 

 

 

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